日本小児科学会の見解
これまでに報告された小児(0-18 歳)の COVID-19 の報告例(2020 年 3 月 8 日現在)から、
小児における COVID-19 は比較的軽症なウイルス性の気道感染症の病像を呈することが示さ
れた。以下がその特徴である。
⚫ 主な症状は発熱と咳嗽である。鼻汁や鼻閉などの上気道症状は比較的少なく、嘔吐、
腹痛や下痢などの消化器症状も報告はあるものの特徴的ではない(1-4)。咳嗽など下気道
症状が主体と思われる一方で、喘鳴などの報告は少ない。
⚫ 詳細な経過を記した報告は少なく、臨床経過については不明確なところが多い。成人
同様に3日以上の発熱を呈する例も報告されている。
⚫ 血液検査上の特徴はなく、白血球数、CRP 値などは正常範囲のことが多い。LDH の軽度
上昇を約1/3 の症例に認める。
⚫ 胸部 X 線検査や肺の CT 検査上は斑状のスリガラス様陰影を認めるが、表中に含まれる
報告例のなかで呼吸不全を呈した例は少ない。
⚫ 抗 HIV 薬(ロピナビル・リトナビルの合剤)やインターフェロンαの投与が行われた
例もあるが、有効性については明確でない。
⚫ 軽症あるいは自然軽快する症例がほとんどである。急性下痢症で発症し、敗血症・腎
不全・呼吸不全に至った 3 歳児の重症例の報告がある。本症例では他の感染症の除外
は出来ておらず、解釈には慎重を要す(5)。
⚫ ウイルス排泄は、症状の有無にかかわらず、鼻咽腔の他に便中からも長期にわたって
確認されている。(ただし、便中の検出はリアルタイム PCR 法による検出であり感染性
は不明)(6)。
中国における小児(0-18 歳)の報告例は全体の 2.4%を占めるにすぎず、日本国内も散
発例に留まる(7)。小児の臨床像に関する報告は、現時点では中国における家庭内接触によ
る感染者が主体でありいずれも軽症である(表)。濃厚接触者における年齢別の検討により、
小児の罹患率は成人と変わらないことが示されている(8)。小児の報告例が少ない理由は、無
症状あるいは軽症が多く検査実施に至っていないためと類推される。
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=329
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20200316_rinsho_tokucho.pdf
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20200316_kensa_tekiyou.pdf
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「小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の臨床的な特徴」および「新型コロナウイルス検査適応(日本小児科学会の考え方)」2020.3.13
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