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2018年度(平成30年度)中央区 決算に対する考え方 同意したことの理由について

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 以下の理由を述べて、2018年度の中央区各会計決算に対する認定に同意を致しました。


******同意の理由*******

第1、区政運営における重大な問題点について

 本年(令和元年)7月1日、中央区は、定住型住宅に対する容積率の緩和を廃止等する地区計画の変更(以下、「地区計画の変更」という。)を告示し、まちづくりの方針を、人口回復策から人口増加を抑える方針へと大きく転換した。人口回復を達成したため、人口増加をおさえて、いまの都市スタイルにあった行政サービスを提供することを目的にした「地区計画の変更」である。人口がこれ以上増えることに対する地域住民からの疑問を受け止め、ブレーキを踏む趣旨であることは、吉田不曇副区長も2019年(令和元年)5月30日放送『NHKクローズアップ現代』のインタビューで答えており、当委員会の都市整備費の私の議論でも再度確認された。2018年度(平成30年度)は、『基本計画2018』の初年度であるとともに、この中央区のまちづくりの方針を劇的に変える「地区計画の変更」の議論がなされた重要な年度であった。
 しかしながら、晴海五丁目における選手村跡地開発で大規模な住宅供給があきらかになっている中で、さらに月島三丁目で総工費1257億円(うち補助金189億円)を投入し二棟の大規模マンションをそれぞれ1000%近くに容積率を大幅に緩和して計画して定住型住宅を合計2107戸供給し、結果、月島の下町情緒や既存コミュニティの崩壊や児童急増への対応として月島第一小学校の校庭をさらに狭くさせて校舎を増築し、耐え難い教育環境の悪化を招こうとしている。「地区計画の変更」では、既存マンションの最大約800棟を「既存不適格」にし、建替えの際に同じ面積の部屋が貰えなくなる制限を区民に強いている一方で、月島三丁目においては容積率を大幅に緩和することは、アクセルをブレーキと踏み間違えた多いに矛盾を孕(はら)む政策であり、看過することができない。「地区計画の変更」でなされることとなったまちづくり方針の転換に沿った再開発の抜本的な見直しを求める。この月島三丁目の再開発の問題点については、地元住民による自主的な勉強会が100回以上開催され、メディアも、本年だけでも、2月日本経済新聞社新書『限界都市 あなたの街が蝕(むしば)まれる』、6月集英社新書『限界のタワーマンションン』で取り上げられ、9月15日には『the japan times』が月島再開発の特集を組み海外メディアも注目をし始めている。

 また、本委員会の議論の中で、他会派からも再三にわたり、障がいのある方の生涯教育の重要性が指摘され、文科省からも本年7月8日に、障がいのある方の生涯教育を教育振興基本計画に位置付けるべきことの通知が発せられているにもかかわらず、現在改訂作業中である同計画への位置づけが、中央区の教育委員会の所管が義務教育の範囲であるという組織体制の理由を盾になされないことは、「教育の中央区」を謳い文句とする本区としては、疑問を抱かざるを得ない。

 そのほかにも、

①「電磁的記録」もまた開示請求の対象である「行政文書」であることは、情報公開条例第2条第2項本文で規定されているにもかかわらず、審議会の音声録音データが公開されないこと、

②本来公開であるはずのまちづくり協議会が、その代表者で構成される「4地区合同協議会」が非公開で運営されてしまったこと、

③「本の森ちゅうおう」の運営を区直営で行うか、指定管理で行うべきか、事柄の重要性からは会議体を設けて検討がなされるべきところ会議体による検討がなされていないこと、

④いままでなされてきた最も重要なパブリックコメントのひとつである「行政評価」に対するパブリックコメントが本年度からなされなくなったこと、

⑤都市計画案や原案に対する意見書の〆切が、締切日当日消印有効から締切日当日必着へと利便性を大幅に低下させる変更がなされたこと、

⑥今回、板状棟の開発協力金が一切ないことが判明したが、2018年11月15日開催のオリンピック・パラリンピック特別委員会で都市計画事業担当課長が、「晴海五丁目西地区の開発協力金の件について、まだ全体についての協議が整ったところではないが、少なくとも今回の板状棟の部分については、戸数に見合った開発協力金を支払うという話の協議をしているところ」という旨の答弁をされた以上は答弁内容のそもそもの誤り或は主要な内容の大幅な変更を放置のままにされたこと

 など、本区の「開かれた区政」が後退しつつあることにも懸念を抱く。


第2、財政状況について

 本区の決算は、会計指標上は、問題なく推移をしているが、今後控える晴海の施設整備、「本の森ちゅうおう」の整備、本庁舎整備、学校・施設の大規模修繕など経費が掛かることが控えており、適切な公債発行と基金の取り崩しの引き続きの健全財政に期待をする。さらには、城東小などでは、超高層大規模再開発の中に多大な権利床を得ており、今後の管理費・修繕積立金の出費は、「退職給与引当金」同様に可視化する必要がないか検討を求める。


第3、来年度の予算編成への要望について

 来年度予算編成に当たっては、本委員会で議論をして来たことを含め、以下、24項目を要望する。

1、いじめ小中134件。いじめをなくすための学校での組織的な取組やネットルールを児童・生徒自らが作成する自主ルールの取組の拡大

2、不登校小中84人。不登校の子ども達への支援と学校卒業後の引き続きのフォロー

3、がん教育や病気に関する知識などの医学面からの健康教育の充実

4、学校の働き方改革の推進、「部活動支援員」など学校支援するボランティアの配置の広がり

5、希望する子ども達が、五輪ボランティアとして参加する機会のさらなる創出

6、医療的ケア児29名含め障がいのある方々のコーディネーターによる学校環境の整備、高校卒業後の居場所・活動場の整備と親亡き後の場としてのグループホームの整備

7、児童精神科の専門家と連携をしつつ発達障害の子ども達の能力を伸ばすための積極的なプログラムの導入

8、阪本幼稚園や晴海新設保育園で実施の「幼保連携型認定子ども園」のさらなる拡大

9、幼保無償化を契機とした子どもの預かりの場の安全性の確保及び幼稚園類似施設への幼児教育相当分の無償化の拡大

10、親御さんががんに罹患した家族を包括的に支援するコーディネーターの設置

11、自殺者31人。自殺未遂者へのアプローチを強化することで自殺予防を進めること

12、認知症最低3171人。認知症になっても住み慣れた地域で生を全うできる地域づくり及び人生の最後の医療やケアがどうありたいかのアドバンス・ケア・プラン(ACP)作成支援

13、障がい者スポーツ拠点の創設

14、区民マラソンのファミリー部門2kmは希望者全員が参加可能にすること

15、新設桜川保育園・高齢者施設での“共生ケア”のモデル実施

16、要支援者7995人。避難行動要支援者への災害時ケアプランの作成(現状29%)の拡大。発災直後の迅速な安否確認体制の確立

17、福祉避難所や聖路加国際病院との協定の締結や、要支援者個別避難計画作成支援、「00000(ファイブゼロ)JAPAN」含め災害時通信環境の整備などを含めた『地域防災計画』の改訂

18、通信速度を100ギガ・bpsとすること含めICT環境や通信インフラ整備、ICT教育の充実やAIを用いた業務の効率化、病室などで授業に参加できる仕組みの整備

19、町会・自治会・商店街・消防団・NPO・花咲く街角や公園自主管理ボランティアなどプロアクティブ・コミュニティ活性化のさらなる支援

20、全区的な風環境の調査及び対策の実施

21、段差ゼロとする歩行環境の整備及び完全歩車分離式信号機を導入することによる交差点事故の撲滅

22、まちづくりや再開発の仕組みや用語をわかりやすく解説した情報の住民への提供、再開発を経験された方々の声の集約、住民同士の話し合いの場の提供によるまちづくりに参加する権利の保障

23、築地市場跡地、地下鉄新線、新庁舎、本の森ちゅうおう、ほっとプラザはるみの温浴施設などのまちづくりにおける開かれた議論

24、日本橋首都高地下化における急降下・急カーブをなくすように日本橋川を有効活用した線形変更

 以上、強く要望する。

第4、認定について

 冒頭第1で述べたように、特に月島三丁目北地区への補助金4200万円は、区の政策の方針に矛盾を来したものであり単体としては同意できないと考えられるものであるが、一方で、2017年度(平成29年度)より「新公会計制度」導入という大改革を成し遂げ、本委員会へは、財務諸表と一体となった「行政評価書」を提出された。

 さらに、2018年度(平成30年度)における

①子ども発達支援センター「ゆりのき」の開設と「育ちのサポートカルテ」の本格実施、

②医療的ケア児を含めた重症心身障害児に対応した放課後デイサービスの実施、

③晴海地区への病児・病後児保育室の新設、

④京橋築地小、阪本小、銀座中へのタブレット端末等導入によるICT環境の整備、

⑤ブックスタート事業と子ども読書通帳開始、

⑥全幼小中学における「一校一国運動」の実施

など子ども達のための多くの重要な新規・充実の各事業が実施されており、これら含めた一般会計の総体を不同意とすることはできないと考える。

 第3において述べた点を含め、本態度表明や本決算特別委員会での議論で述べられた点が、新年度予算及び本年度改定作業中の『教育振興基本計画』、『第2期子ども・子育て支援事業計画』、『保健医療福祉計画』に十分に反映され、第1で指摘の改善事項が改められることを期待して、各会計に同意をする。

 区政運営において、今回指摘させていただいた内容の改善がなされない場合には、警鐘をならす意味合いから今後は不同意もありうることを申し述べ、子どもを守る会の態度表明とする。

以上。

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