学校を出て、就職することは、そのひとの一生を決めるとても大切な時です。
企業にとっては、多くの候補者のひとりであっても、その個人にとっては、その採用は、人生の一大事。
その採用過程で、企業側からの安易な採用拒否は、絶対にあってはならないことです。
採用取消がなされたような場合に、大事なことは、内定(内々定もふくめ)や試用期間の法的性質を、労働契約とみなすことです。
すなわち、判例多数説がそうであるのですが、それぞれにおいて、解約権留保付き始期付き労働契約成立説、契約権留保付き労働契約説をとり、採用取消は、解雇類似として争います。
契約がないとなると、争っても、せいぜい慰謝料の損害賠償止まりです。
労働契約成立なら、不合理な採用取消の場合、採用取消は無効であり、採用の地位は守られます。
1採用内々定
1)採用内々定の法的性質
現在、採用内定は、就職協定により10月1日以前には正式に行われないが、以前より企業が学生に対し、口頭で採用内々定を表明し、その後、内定開始日に正式に採用内定通知がされるという慣行が形成されている。
通常、採用内々定は、採用内定とは同じとは言えない。
?形式的には内定通知書が出されていない
?企業、学生の双方の意識としても採用内定とはおのずから異なる。
?ただ、事案によっては、採用内定と認めるべきこともあるだろうし、予約契約が成立したというべき場合もある。
2)内々定取消の法的意味
内々定について、企業は採用内定日の前に取り消すことがありうる
考え方1:内々定を採用内定とみることができる場合には、すでに成立した労働契約関係を使用者が一方的に解消することと評価することができ、解雇と同視できる。
その取消しについて客観的合理的な理由と社会通念上相当であることが必要である。
考え方2:内々定を採用内定と診ることができる場合であるとしても、直ちに解雇権濫用の問題で処理するのではなく、内定取り消しに関する判例理論の枠組みにより判断する
2採用内定
1)採用内定の法的性質
採用の自由が原則
具体的には、?雇い入れ人数の選択決定の自由、?募集方法の自由、?選択の自由、?契約締結の自由、?調査の自由
*解約権留保付き始期付き労働契約成立説(判例・多数説)
*締結過程説(特別の事情がなければ内定から本採用までの一連の手続全体が労働契約の締結過程である。よって、採用内定は企業と内定者いずれも拘束しない。)
*予約説(労働契約締結の予約)
2)採用内定取消の法的意味
解約権留保付き始期付き労働契約成立説であるすると、採用内定取消は、留保解約権の行使であり、これは解雇にほかならないとみることができる。
留保解約権の行使の合理性を判断することとなる。
*締結過程説、予約説をとってしまうと、両者労働契約締結ではないため、内定取消を解雇と評価できず、請求できるものがせいぜい慰謝料としての損害賠償止まり!
3試用
1)試用の法的性質
本採用前の正規従業員としての適格性判断のための試みの採用期間
*契約権留保付き労働契約(通説、三菱樹脂事件)
通常の場合、試用は当初から期間の定めのない労働契約であり、試用期間中は使用者に労働者の不適格性を理由とする解約権が留保されている。留保解約権の行使がない限り、試用から正社員になる。
*予備契約説
試用は正社員の労働契約と異なり、労働者の適正・能力を判断するための期間のある予備的な契約(無名契約)。本採用は別途契約の締結ということになるので、本採用拒否は使用者の自由である。
*試用契約と本契約の併存説
試用は能力・適格性判断の特殊な労働契約と不適格性が判明しない場合の試用期間満了後に締結する本契約の予約とが併存している。
2)本採用拒否の法的意味
*契約権留保付き労働契約(通説、三菱樹脂事件)⇒本採用拒否は留保解約権の行使であるため、この解約権行使がいかなる場合にできるかが問題となる。
留保解約権行使に基づく解雇は、通常の解雇より広い範囲で解雇の自由が認められるが、解約権留保の趣旨、目的に照らし客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認される場合にのみ許されるとされる。
試用期間はなお実験観察期間の性格があるので、職務上の能力や適格性判断に基づく広い留保解約権の行使が認められるべきだからである。
*予備契約説⇒本採用拒否は使用者の自由であるから、原則として本採用拒否の適法性は問題にならない。
*試用契約と本契約の併存説⇒本採用拒否が不適切であったとしても、本契約締結義務の不履行にすぎないので損害賠償をなしうるにとどまる。
企業にとっては、多くの候補者のひとりであっても、その個人にとっては、その採用は、人生の一大事。
その採用過程で、企業側からの安易な採用拒否は、絶対にあってはならないことです。
採用取消がなされたような場合に、大事なことは、内定(内々定もふくめ)や試用期間の法的性質を、労働契約とみなすことです。
すなわち、判例多数説がそうであるのですが、それぞれにおいて、解約権留保付き始期付き労働契約成立説、契約権留保付き労働契約説をとり、採用取消は、解雇類似として争います。
契約がないとなると、争っても、せいぜい慰謝料の損害賠償止まりです。
労働契約成立なら、不合理な採用取消の場合、採用取消は無効であり、採用の地位は守られます。
1採用内々定
1)採用内々定の法的性質
現在、採用内定は、就職協定により10月1日以前には正式に行われないが、以前より企業が学生に対し、口頭で採用内々定を表明し、その後、内定開始日に正式に採用内定通知がされるという慣行が形成されている。
通常、採用内々定は、採用内定とは同じとは言えない。
?形式的には内定通知書が出されていない
?企業、学生の双方の意識としても採用内定とはおのずから異なる。
?ただ、事案によっては、採用内定と認めるべきこともあるだろうし、予約契約が成立したというべき場合もある。
2)内々定取消の法的意味
内々定について、企業は採用内定日の前に取り消すことがありうる
考え方1:内々定を採用内定とみることができる場合には、すでに成立した労働契約関係を使用者が一方的に解消することと評価することができ、解雇と同視できる。
その取消しについて客観的合理的な理由と社会通念上相当であることが必要である。
考え方2:内々定を採用内定と診ることができる場合であるとしても、直ちに解雇権濫用の問題で処理するのではなく、内定取り消しに関する判例理論の枠組みにより判断する
2採用内定
1)採用内定の法的性質
採用の自由が原則
具体的には、?雇い入れ人数の選択決定の自由、?募集方法の自由、?選択の自由、?契約締結の自由、?調査の自由
*解約権留保付き始期付き労働契約成立説(判例・多数説)
*締結過程説(特別の事情がなければ内定から本採用までの一連の手続全体が労働契約の締結過程である。よって、採用内定は企業と内定者いずれも拘束しない。)
*予約説(労働契約締結の予約)
2)採用内定取消の法的意味
解約権留保付き始期付き労働契約成立説であるすると、採用内定取消は、留保解約権の行使であり、これは解雇にほかならないとみることができる。
留保解約権の行使の合理性を判断することとなる。
*締結過程説、予約説をとってしまうと、両者労働契約締結ではないため、内定取消を解雇と評価できず、請求できるものがせいぜい慰謝料としての損害賠償止まり!
3試用
1)試用の法的性質
本採用前の正規従業員としての適格性判断のための試みの採用期間
*契約権留保付き労働契約(通説、三菱樹脂事件)
通常の場合、試用は当初から期間の定めのない労働契約であり、試用期間中は使用者に労働者の不適格性を理由とする解約権が留保されている。留保解約権の行使がない限り、試用から正社員になる。
*予備契約説
試用は正社員の労働契約と異なり、労働者の適正・能力を判断するための期間のある予備的な契約(無名契約)。本採用は別途契約の締結ということになるので、本採用拒否は使用者の自由である。
*試用契約と本契約の併存説
試用は能力・適格性判断の特殊な労働契約と不適格性が判明しない場合の試用期間満了後に締結する本契約の予約とが併存している。
2)本採用拒否の法的意味
*契約権留保付き労働契約(通説、三菱樹脂事件)⇒本採用拒否は留保解約権の行使であるため、この解約権行使がいかなる場合にできるかが問題となる。
留保解約権行使に基づく解雇は、通常の解雇より広い範囲で解雇の自由が認められるが、解約権留保の趣旨、目的に照らし客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認される場合にのみ許されるとされる。
試用期間はなお実験観察期間の性格があるので、職務上の能力や適格性判断に基づく広い留保解約権の行使が認められるべきだからである。
*予備契約説⇒本採用拒否は使用者の自由であるから、原則として本採用拒否の適法性は問題にならない。
*試用契約と本契約の併存説⇒本採用拒否が不適切であったとしても、本契約締結義務の不履行にすぎないので損害賠償をなしうるにとどまる。