有期労働契約は、使用者が更新を拒否した時は、契約期間の満了により雇用が終了します。(雇止め)
過去の最高裁判例で、一定の場合には、労働者保護の観点から、雇止めを無効にするルール(雇止め法理)が確立していますが、今回の労働契約法改正に伴い、条文化しました。
たいへん重要な条文と思われます。
以下改正労働契約法19条1号2号の場合に、雇止めができません。
<改正19条1号>
当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
言い換えると⇒過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
1)もとになった最高裁判例:東芝柳町工場事件(最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決)
事案:雇用期間2ヶ月の雇用契約を5回〜23回にわたり更新していた臨時工につき雇止めをした事案。
〇労働内容は、臨時工と本工(正社員)とでなんら差異はない
〇過去に臨時工が雇止めされた例はない
〇会社担当者の長期雇用や本工への登用を期待させる言動があった
〇臨時工も継続雇用を信じ、本工への登用を希望していた
〇契約更新に際し、必ずしもその都度、契約更新の手続きをとっていなかった
判旨抜粋:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121959053082.pdf
実質において、当事者双方とも、期間は一応二
か月と定められてはいるが、いずれかから格別の意思表示がなければ当然更新され
るべき労働契約を締結する意思であつたものと解するのが相当であり、したがつて、
本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契
約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各傭
止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、
実質において解雇の意思表示にあたる、とするのであり、また、そうである以上、
本件各傭止めの効力の判断にあたつては、その実質にかんがみ、解雇に関する法理
を類推すべきであるとするものであることが明らかであつて、上記の事実関係のも
とにおけるその認定判断は、正当として首肯することができ、その過程に所論の違
法はない。
<改正19条2号>
当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであること。
言い換えると⇒労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
1)もとになった最高裁判例:日立メディコ事件(最高裁第一小法廷昭和61年12月4日判決)
事案:期間2ヶ月の臨時工として採用され、契約を5回更新した労働者について雇止めをした事案。
〇この臨時工は季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のための雇用ではなく、その雇用期間はある程度継続が期待されていた
〇契約の更新手続きは厳格(契約更新に際しては本人に更新の意思確認をしたうえで、本人が会社に預けてある印を押印していた)に行われていた
判旨抜粋:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130838219690.pdf
(1) P工場の臨時員は、季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のため
に雇用されるものではなく、その雇用関係はある程度の継続が期待されていたもの
であり、上告人との間においても五回にわたり契約が更新されているのであるから、
このような労働者を契約期間満了によつて雇止めにするに当たつては、解雇に関す
る法理が類推され、解雇であれば解雇権の濫用、信義則違反又は不当労働行為など
に該当して解雇無効とされるような事実関係の下に使用者が新契約を締結しなかつ
たとするならば、期間満了後における使用者と労働者間の法律関係は従前の労働契
約が更新されたのと同様の法律関係となるものと解せられる。(2) しかし、右臨
時員の雇用関係は比較的簡易な採用手続で締結された短期的有期契約を前提とする
ものである以上、雇止めの効力を判断すべき基準は、いわゆる終身雇用の期待の下
に期間の定めのない労働契約を締結しているいわゆる本工を解雇する場合とはおの
ずから合理的な差異があるべきである。(3) したがつて、後記のとおり独立採算
制がとられている被上告人のP工場において、事業上やむを得ない理由により人員
削減をする必要があり、その余剰人員を他の事業部門へ配置転換する余地もなく、
臨時員全員の雇止めが必要であると判断される場合には、これに先立ち、期間の定
めなく雇用されている従業員につき希望退職者募集の方法による人員削減を図らな
かつたとしても、それをもつて不当・不合理であるということはできず、右希望退
職者の募集に先立ち臨時員の雇止めが行われてもやむを得ないというべきである。
過去の最高裁判例で、一定の場合には、労働者保護の観点から、雇止めを無効にするルール(雇止め法理)が確立していますが、今回の労働契約法改正に伴い、条文化しました。
たいへん重要な条文と思われます。
以下改正労働契約法19条1号2号の場合に、雇止めができません。
<改正19条1号>
当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
言い換えると⇒過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
1)もとになった最高裁判例:東芝柳町工場事件(最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決)
事案:雇用期間2ヶ月の雇用契約を5回〜23回にわたり更新していた臨時工につき雇止めをした事案。
〇労働内容は、臨時工と本工(正社員)とでなんら差異はない
〇過去に臨時工が雇止めされた例はない
〇会社担当者の長期雇用や本工への登用を期待させる言動があった
〇臨時工も継続雇用を信じ、本工への登用を希望していた
〇契約更新に際し、必ずしもその都度、契約更新の手続きをとっていなかった
判旨抜粋:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121959053082.pdf
実質において、当事者双方とも、期間は一応二
か月と定められてはいるが、いずれかから格別の意思表示がなければ当然更新され
るべき労働契約を締結する意思であつたものと解するのが相当であり、したがつて、
本件各労働契約は、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契
約と実質的に異ならない状態で存在していたものといわなければならず、本件各傭
止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであるから、
実質において解雇の意思表示にあたる、とするのであり、また、そうである以上、
本件各傭止めの効力の判断にあたつては、その実質にかんがみ、解雇に関する法理
を類推すべきであるとするものであることが明らかであつて、上記の事実関係のも
とにおけるその認定判断は、正当として首肯することができ、その過程に所論の違
法はない。
<改正19条2号>
当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであること。
言い換えると⇒労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
1)もとになった最高裁判例:日立メディコ事件(最高裁第一小法廷昭和61年12月4日判決)
事案:期間2ヶ月の臨時工として採用され、契約を5回更新した労働者について雇止めをした事案。
〇この臨時工は季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のための雇用ではなく、その雇用期間はある程度継続が期待されていた
〇契約の更新手続きは厳格(契約更新に際しては本人に更新の意思確認をしたうえで、本人が会社に預けてある印を押印していた)に行われていた
判旨抜粋:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130838219690.pdf
(1) P工場の臨時員は、季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のため
に雇用されるものではなく、その雇用関係はある程度の継続が期待されていたもの
であり、上告人との間においても五回にわたり契約が更新されているのであるから、
このような労働者を契約期間満了によつて雇止めにするに当たつては、解雇に関す
る法理が類推され、解雇であれば解雇権の濫用、信義則違反又は不当労働行為など
に該当して解雇無効とされるような事実関係の下に使用者が新契約を締結しなかつ
たとするならば、期間満了後における使用者と労働者間の法律関係は従前の労働契
約が更新されたのと同様の法律関係となるものと解せられる。(2) しかし、右臨
時員の雇用関係は比較的簡易な採用手続で締結された短期的有期契約を前提とする
ものである以上、雇止めの効力を判断すべき基準は、いわゆる終身雇用の期待の下
に期間の定めのない労働契約を締結しているいわゆる本工を解雇する場合とはおの
ずから合理的な差異があるべきである。(3) したがつて、後記のとおり独立採算
制がとられている被上告人のP工場において、事業上やむを得ない理由により人員
削減をする必要があり、その余剰人員を他の事業部門へ配置転換する余地もなく、
臨時員全員の雇止めが必要であると判断される場合には、これに先立ち、期間の定
めなく雇用されている従業員につき希望退職者募集の方法による人員削減を図らな
かつたとしても、それをもつて不当・不合理であるということはできず、右希望退
職者の募集に先立ち臨時員の雇止めが行われてもやむを得ないというべきである。